ブルネイに日帰りで行って帰れなくなるところだった話②

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※このときのレートは、1リンギ=27円=5850ドン程度です
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ミニバンを降りたのは、ブルネイ川沿いの Jaran MacArther。一番の大通りと言っていいのだろう。なんとかミリに帰る手段を探さないといけない。今日持ってきている荷物はボディバッグひとつ。他の荷物は全部ミリのホテル。ベトナムに帰るフライトは明日朝10時半にミリ空港からである。

 
まずはお金だ。せっかくブルネイに来てブルネイドルを手に入れないわけにはいかない。ATMでお金を下ろそうとすると……取引拒否の上にカードが出てこない。幸いこのATMは銀行のオフィスのすぐ近くだったので、銀行の職員に頼んですぐ取り出してもらい、別のカードで現金の引き出しには成功した。

 
次にインターネットがないとどうしようもない。しかし、SIMを買おうと2軒ほど店を尋ねても販売を拒否される。おそらく外国人用の旅行者SIMは、一般国民用のとは違っているのだろう。そして外国人用SIMを買える場所がどこにあるかはわからない。

 
あちこち歩くと、旅行者向けのインフォメーションセンターを見つける。職員に「ミリに帰りたいのだがバスはあるか」と聞くと、「13時のしかない。今日はもう終わり」だという。「タクシーだと国境までいくらだ」と聞くと「そんな遠くのことはわからない」という。

 
正直、キレそうである。

 
なんとか気持を落ち着けようと、大きなショッピングモールに入ってカフェでジュースを飲む。その後にショッピングモール内の店でまたSIMを買おうとするが、やはり拒否される。

 
とりあえずうろうろと歩いてみる。バスターミナルらしきものやホテルなどはあるが、どうしたものか……。と思っていたら、ブルネイ川沿いの場所に止まっている大きなバスを発見!

 
近づいてみると、インドネシアのポンティアナックにいくバスとのことだった。ここからポンティアナックであれば、普通に考えて西海岸をミリ、ビントゥル、クチンと縦断・南下していくはずだ。出発時間を聞くと3時だという。「乗せてくれ」というと、「ミリには行かない」という。そんなわけあるかと思い、「サラワク方面ならいいから乗せてくれ、あとでまた来る」と言ってその場を離れる。

 
考えてみると朝からまんじゅう2個、テイクアウトの弁当1個しか食べていない。通りを歩いているとハンバーガーショップがあったので、とりあえずそこで食事をして、水を買って外に出る。さっきバスがあった場所に向かうと……。

 
バス、出発時間前なのにもういない。思わず買ったばかりの水を地面に叩きつけてしまった。

 
もう諦めてここに一泊するか、と思って歩いているとバスターミナルを見つける。国境方面に行くバスはないか聞いてみようと思うと、ちょうど「SERIA」と行き先の書かれたバスがターミナルから出てきた。セリア? たしか国境近くの街じゃなかったか……。とっさに大声を出して手を降って、バスに乗せてもらう。「セリア行きか? 国境のほうか?」と聞くと「そうだ」という。とりあえず、これに乗っていけばなんとかなるかもしれない。

 

バンダルスリブガワンで撮った写真、マジでこれ一枚なのであった。どれだけ焦っていたかわかろうというものである。

 
(続く)