ホーチミン市カンゾー県からフェリーでブンタウへ

1150

先日、週末を利用して、ホーチミン市南端のカンゾー県 Cần Thạnh市鎮と、バリア=ブンタウ省ブンタウ市をつなぐフェリーに乗ってみました。

まずはおさらい。

2021年現在、ホーチミン市には都心部に16の区(quận: 郡)と1つの市(トゥードゥク市:2021年1月に2区・9区・トゥードゥク区が合併)が存在し、郊外に5つの県(huyện: 縣)が存在する。県は北部にクチ県とホクモン県、南部にビンチャイン県とニャベ県、そして最南部に位置するのがカンゾー県(南部発音:カンヨー県)である。

 

衛星写真で見ればわかるとおり、このカンゾー県はほとんどが、くねくねと蛇行する河川のデルタに熱帯雨林が生い茂った地形となっている。

 
そしてホーチミン市の東隣のバリア=ブンタウ省の海にナタのように突き出した半島が、ホーチミン市から一番近いビーチリゾート・ブンタウ市である。このブンタウは近いと行っても、ホーチミン市中心部から約120km。週末にバイクで行くにはちと辛い距離である。それに対しカンゾー県のその先端までは60kmほどと、1時間半もあればバイクで十分行ける距離である。

わたしは以前から、「カンゾーからブンタウまで船で行けたらいいのになあ」と思っており、3年前には一度渡し場まで見に行ったのだが、当時はしょぼい渡し船が日に2便あるだけだった(2018年1月の記事「カンゾー県へ」)。しかしニュースによると、2021年の1月に大型フェリーの就航が始まったというのである。今回、妻とブンタウに旅行に行くにあたって、こちらのフェリーを利用してみた。


空港の裏手にある私の家は都心から10kmほど離れている。このためカンゾー県の先端「4月30日海岸」までは72km。まずは市街を抜けて、ニャベ県、そしてニャベ県とカンゾー県を結ぶ Bình Khanhの渡し場まで。今日は週末ということもあり、渡し船の船内にはバイクや自転車の旅客も多い。ロイヤル・エンフィールド(イギリス−インドのバイク会社)の愛好会のようなグループもツーリングに来ていた。


カンゾー県側には、船着き場が備わった民家なども見ることができる。

 
渡し船を降りると、ここから先は đường Rừng Sác(ルンサック道路)という2~3車線の、ハイウェイといっていい道路がジャングルを縦貫している。途中には信号も1つか2つしかなく、道はそうよくないもののかなりの速度で飛ばすことができる。Rừngはベトナム語で「森」を指す語であるが、 Rừng Sácじたいは固有名詞であり、カンゾー県のこのジャングルの名称にもなっている。

 

4月のベトナム南部を彩るこの花には「大阪花」「日本黄梅」「皇后梅」など様々な呼び方がある。ホーチミン市都心だと成木しか見ないが、ここでは近年植えられたものらしい若木が目立った。花がよく観察できる。

 

道路脇には時おり、雨水を逃がすためのルートが設けられている。ここからマングローブ林に入って、泥だらけになってカニを捕まえている人もよく見かける。

 

エビの養殖場もあるようだ。汽水域だからいろいろ都合がいいのだろうか。


いったん、カンゾー県 Cần Thạnh市鎮の先端にある4月30日海岸まで行ってみたのだが、以前は自由に入れた海岸公園が、地元民以外はバイク進入禁止になっていた。

 

どうしても海を見たかったので、海岸公園の裏口のほうを訪ねてみたら海岸へは入れるようになっていた(海岸公園の裏口ゲートには監視員がいた)。まぁ、この浜はあまりきれいではないので、海岸公園でカフェをしながらハンモックを楽しむのがメインだから、海岸だけ入れてもどうしようもないのだが。


 

ブンタウ行きフェリーの船着き場は、前回見たものとは別の場所にあった。

 

切符売り場。バイクは1台50千ドン(240円)、人は1人70千ドン(340円)と、最新の双胴高速船だけあってかなりいい値段である。いつ出発か聞いたら、「1分後!」と言われる。いろいろギリギリであった。

 

車両が乗り降りするタラップは両舷についているタイプ。

 


窓ガラス越しだが、船窓からの眺めなど。


降車の様子など。


ここで乗り場とルートをおさらい。乗船時間は30分ほどである。

さて、ブンタウで一泊して、日曜の午後に同じルートを引き返すことにする。13時の便があるとネットに出ていたので、12時に行ってきっぷを買ってみるがきっぷに便の時間が書かれていない。妻が聞いてみたところ、週末は乗客が多いので、乗り場に並んだもの順での乗船となり、予約はできないのだそうだ。とはいえ、近くのカフェで軽く食事をして、20分前に乗り場に行って十分間に合った。

 


帰りは2階のキャビンに座って、出港のようすも甲板から眺めてみた。


しかしこれで「バイクでブンタウ」がかなり身近になった感じである。特に7区などに住んでいる人からすればこのフェリーの恩恵はかなりあるだろう。またふらっとでかけてみたいものである。

(完)