日本語研究:「発展」と「発達」
2024年11月17日
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先日、昔の学生から質問がありました。
会社(技能実習先)の創立50周年パーティーがあるんですが、「会社の発達をお祈りします」と言っていいですか?
ベトナム語にも phát triển(発展)、 phát đạt(発達)の2つの語がありますが、ベトナム語では「富を得る」場合は phát đạt を使うようです。そもそも「đạt(達)」は人生の成功を指す際によく使われる語です。このため、この学生は「会社の発達」と言えばいいと思ったのでしょう。
でも、日本語で「会社の発達」というと変ですね。まるである社会において、会社組織だけが異常に幅を利かせている状態のように感じてしまいます。日本語の「発展」と「発達」の違いはどのようなものでしょうか? 例文を挙げてみます
発達
- 犬は鼻が発達している (✘犬は鼻が発展している)
- 女性は思春期になると胸が発達する(✘胸が発展する)
- 低気圧が発達する(✘低気圧が発展する)
発展
- 貴社の発展をお祈りします(✘会社が発達する)
- 文化が発展する(✘文化が発達する)
- ちょっとした喧嘩が戦争に発展する(✘戦争に発達する)
こうして挙げてみると、やはり「発達」は「いろいろなものの中の一つが飛び抜けて上昇」しているという意味合いで、「発展」は「いろいろなものがそれぞれ広く展開していく」という意味合いですね。また、「発達」はとんどのケースで自然現象に用いられていることもわかります。「A市は地下鉄が発達している」も、まぁ人為について言ってるのではなく、自然な成り行きについて語っている感じがしますし。