9月の読書記録

6

9月はノンフィクション 0冊、フィクション8冊で合計8冊。まんが6冊を加えて14冊。
 

ノンフィクション(0冊)

なんと今月はノンフィクション0冊。読みかけは2冊あるんですが……


 

フィクション(8冊)

📔『神去なあなあ日常』『神去なあなあ夜話』/三浦しおん/ 徳間文庫
★★★★☆
三浦しおん、なぜか読まず嫌いでしたが読まず嫌い克服月間ということで読んでみました。うーんと、これはどういうジャンルだろう? 青春小説? 三重県奥地の山村に図らずとも移住することになった若者の成長と恋愛を描いた若干ファンタジー気味な小説。ほのぼの系? そこそこおもしろかったです。


 

📔『夫のちんぽが入らない』/こだま/扶桑社
★★★☆☆
以前にネットで話題になった作品。もとは文フリで有名になったものらしい。なんか複数の版元から出ている気が。筆者の実体験に基づく半生記のようなものらしい。筆者はこれを期にエッセイとかいくつか書いているみたいです。文章はそこそここなれていますが、何を書きたかったかは不明。不快ではないですが特に興味深くもないです。とっぽい女性の頭の悪い半生を見させられただけ。こういうのを「エモい」といってありがたがるのはやめようと思います。


 

📔『一橋桐子 (76) の犯罪日記』/原田ひ香/徳間書店
★★★★★
「おばあちゃん物」というジャンルがある。が、それって結局のところは「少女小説」「青春小説」になっちゃうんだよな。本当に耄碌した「おばあちゃん」の主観で書くと、ちゃんとしたストーリーにならないからねえ。本作はシスターフッド的に同居していた親友の死を契機に将来を危ぶんだ老女が、「刑務所入り=安泰な生活」を目指したほうがいいのかしら? と、さまざまな犯罪を試みていく物語。コミカルでありつつリリカルで面白く読めました。


 

📔『翼に息吹を』/熊谷達也/角川文庫
★★★★☆
神風特攻隊モノ。……というだけで、いわゆる「リベラル」な人は眉をひそめて読まないと思う。というか私もそうでした。今回、下記の『相剋の森』にお金を払うにあたって、筆者がどのような考えを持っているか事前に確認したく Kindle unlimitedで読んでみました。機械に取り憑かれた航空機整備士と、のらりくらりと特攻拒否をするあるパイロットの物語。特攻隊賛美のストーリーではもちろんないので安心して読んでいいですが、やはり特攻隊を語ることの困難さを感じました。あれを語る以上どうしても悲劇的にならざるを得ず、悲劇的になればなんとなく「日本被害者論」的な語りになってしまう。特に特攻隊は被害のほとんどが「アメリカ軍人」であり民間人の被害者がいないので、加害者として語ることも難しい。だからこそ「神風特攻隊」に対しては、まともな神経を持った人間ほど積極的に語ろうとしなくなってしまう。

でも、それでいいのか。実際にあったことはあったことで、語り継がないといけないのは事実ではないのか。本作もそのような意図はあるのだと思うが、やはり不完全燃焼感はある。どう扱ったらいいんですかねえ。日本人が戦後の日本国とそれ以前の大日本帝国を切り離して考えられない以上、語るのは無理ではないかという気もする。だとすればその元凶はやはり天皇制が続いてしまっているからではないか。


 

📔『相剋の森』/熊谷達也/集英社文庫
★★★★★
主人公は都会人の女性編集者・ライター。山と熊をめぐる取材の合間に聞いた「山は半分殺してちょうどいい」という言葉を巡って、自然と人、そして記憶の継承について学んでいく物語。2003年の作とのことだが、昭和の臭いのする物語。文学賞で言えば大佛賞か大藪賞かといった雰囲気。「よろしいですか、はじめにありきなのは、『共生』ではなく『共死』なのです」という作中の老哲学者の言葉にはハッとした。主人公の惚れていくカメラマンの吉本もクマ相手に2度死にかけている。やはり死を見つめないとわからないことはある。そして上記の「翼に息吹を」同様、本作にも記憶の継承に関しての言葉がある。「どこでどんな生活をしていようと、今こうして生きている自分にはささやかなルーツがあることをわかっているべきだということ(中略)戦争ですよ。しかも自分の国がああ言う形で戦争をして、最後には負けたという体験のせいですよ」。

本作は「森」シリーズの第一作だそうな。ここから「邂逅の森」「氷結の森」と続く。

ところで、動物に喰われて死ぬとはどんな感じなのだろう。知性ある我々人間にはそれは恐怖なのだろうが、そうではない動物にとっては、特に丸呑みされた時には、セックスのような快感があるのではないか、自然はそう設計されているのではないかと妄想することがある。自然とともに生きるというのは、そういう事を折り込み済みでなければならないのだろう。


 

📔『有楽斎の戦』/天野純希/集英社文庫
★★★★☆
有楽斎こと有楽如庵、織田源五郎長益を主人公にした話……と思いきや短編集でした。有楽斎が出てくるのは 6本中3本。第一部として本能寺の変を、有楽斎と島井宗室のふたりの視点から、第二部として関ヶ原の戦いを、有楽斎と小早川金吾秀明の視点から、第三部として大坂の陣を松平仙千代忠直と有楽斎から描いている。うーん、無理して纏めた短編集だけあって読後の印象は薄い。この作家は室町から戦国の話をたくさん書いているのだけど、今回ちょっと気になる点がありました。それは戦時の奴隷刈りの話で、被害者を「女子供」と描いていること。実際はこの時代の奴隷は、まず労働力が求められていたので「20代から30代の男」が一番求められていたはずなんですよね。それを「女」にしてしまうのは、いささか現代の価値観に汚染されているのでは。


 

📔『生皮 あるセクシャルハラスメントの光景』/井上荒野/朝日新聞出版
★★★★☆
セクハラ、というか「権力者に強いられた・仕向けられた、望まない枕営業」についての告発小説でしょうか。テーマは重いけど作品としてはあまり印象深くなかった。しかしなぜそう思ったかと言うと、それは日本ではこういう風景が当たり前だからなのではないか。そしてあくまでも個人の物語として描かれているからではないか。きちんと社会の物語にするにはどうしたらいいのか。


 

まんが(6冊)

📔『谷川史子 告白物語 おおむね全部』/谷川史子/集英社
★★★★★
購入。

ついに谷川史子について語らないといけない日が来た。高校に入学した頃から貪るように少女まんがを読み始めた私にとって、谷川史子の出現は大事件であった。

若問乙女的是何(もし乙女チックとは何かと問へば)
其即谷川史子也(それすなわち谷川史子也)

と漢詩に読んでしまうほどの存在であったのだ。当時私がゼブラの丸ペンしか使わなかったのも谷川史子の影響である。しかし私も大人になるにつれ少女漫画を読まなくなり、また谷川史子じたいも活躍の場を『りぼん』から『Cookie』などの「女性誌」に移して行ったこともあり、なんとなく疎遠になっていたのである。

その谷川史子がコミックス巻末にしたためていた「おまけ近況漫画」のタイトルが「告白物語」であり、本書は谷川史子の画業30年を記念して刊行された「おまけマンガ集」。ゲストも多数で、そうそうたるメンバーが谷川史子を讃えていた。うむ、当然のことだ。前半部分は私にとってもかなり懐かしい内容だったが、後半部分はいかんせん作品を追っていなかったこともあり、若干ついていけない部分もあった。しかし「あ、あの後こんな作品も描いてたんだ。読んでみようかな」と思わせる部分もあった。

私が彼女の作品を読み始めたのが高校生のときで、デビュー作は「高校生の時に執筆」とあったので、彼女は私と同じくらいの年齢だと思っていたが、実際は7ツも上だったのか。そうよな、高校生のときに執筆とはいえ『りぼん』掲載は1986年(19歳)のとき、初コミックスは3年後の1989年10月で、そのとき私は高1の15歳だったもんなー。


 

📔『あかね噺』 18/末永裕樹, 馬上鷹将/ ジャンプコミックスDIGITA
★★★★☆


 

📔『ケーキの切れない非行少年』11/ 宮口幸治, 鈴木マサカズ/バンチコミックス
★★★★☆


 

📔『ザ・ファブル The third secret』2/南勝久/ ヤングマガジンコミックス
★★★★☆


 

📔『ベルセルク』43/ 三浦建太郎, スタジオ我画, 森恒二(監修)/ヤングアニマルコミックス
★★★★☆
最終巻までのロードマップはないのだろうか。


 

📔『リエゾンーこどものこころ診療所ー』21/村優作, ヨンチャン/ モーニングコミックス
★★★★★
最終巻。途中かなり画が乱れた時期もあったけど完走おめでとう。


 

年間累計

ノンフィクション フィクション 非まんが合計 まんが 月の総計
1月 8 15 23 12 35
2月 3 7 10 4 14
3月 4 4 8 9 17
4月 9 5 14 3 17
5月 9 10 19 7 26
6月 9 2 11 3 14
7月 7 9 16 14 30
8月 6 6 12 12 24
9月 0 8 8 6 14
累計 55 66 121 70 191