チャムチム国立公園
※この旅行記のインデックスはこちら。
朝早く起きて市場を散歩。朝食を探すと美味しそうなコムタム(砕き米を使った皿飯)屋があったのでひと皿頼む。全く聞き取れない言葉で喋っているお客が結構いる。街の食堂なのにメニューに Dim Sum(点心)とある。やはりここはホア人(中華系ベトナム人)の多い街なのだろうか。
うわっ、美味しい! 豚の脂身が具として乗っているのだが、これがクドくならないように絶妙な細さに切ってあり、味付けも温度もよく、ひやり・とろり、とした食感ですばらしい。こんな美味しいコムタムは初めて食べた。
ホテルに戻って、チェックイン時に確認したバイクを借りようとするとここでトラブル発生。昨日話をした若い男性がおらず、オーナーの親世代と思しき老人しかいない。「昨日、若い男とこのバイクを借りると約束した」と話すと「どこに行くんだ」と聞いてくる。「チャムチムだ」というと「そんな遠くに行くのはダメだ」と言う。「たった30kmくらいじゃないか」と重ねて言うが、頑として首を縦に振らない。「ダメだダメだ……」のあとはもう繰り言のようで聞き取れない。
うーん、もしかしてドンタップ省では、(寸借ではない)ビジネスとしての外国人むけレンタルバイクは存在しないだろうか? 以前滞在したサデーク市にもなかったのだ。ちなみに以前ヴィンロン省ヴィンロン市ではホテルのスタッフにはっきりと「市が禁止している」と言われたので、地方によって制度が違うことは大いにありえる。ここに2泊しようと思っていたがしかたない。チェックアウトしてバスで向かうことにする。
インターネットでカオラン市(ドンタップ省の省都)へのバス番号を調べて出発。チャムチムに向かう道との三叉路で下車してジュースを1杯。
しばらくするとカオラン方面からミニバスが走ってきた。ドアから身を乗り出して客集めをしている女性に「チャムチム」と声をかけると、「乗って乗って!」と手招きされる。このバスは Trà Vinh省から、チャムチムの先の Tân Hồngに向かうバスのようだった。運賃は25千ドンと、先程まで乗っていたバスよりずいぶん高い。
メコンデルタでは、雨季の終わりの頃のことを、mùa lũ(洪水の季節)と呼ぶ。なるほど、水田や湿地帯に水が満ちている。今日はあいにくの曇り空だったが、晴れた夕方になると陽光を反射してとても美しい。かつてタイ民族やクメール民族がメコンデルタを「スワルナブミ(スワンナプーム):黄金の地)」と呼んだと言われるのも頷ける。
しばらくしてチャムチム国立公園(vườn quốc gia Tràm Chim)の前に到着。Ramsarの文字が見える。湿地帯の保護に関する世界的な条約である「ラムサール条約」加盟地なのであろう。
これは以前、サデーク市からカオラン県を旅行したときにも見た。ドンタップ省のゆるキャラ(?)である。蓮の蕾をかたどっているのだと思われる。
受付で料金を尋ねる。ベトナムのこういった観光地は団体客を前提としているため(ベトナム人は単独行動を好まない)、「観覧チケット5人分とボート貸し切りでいくら」のような料金メニューがほとんどである。いろいろ聞いてみたが一人でボートに乗ることはできなさそうであったので、園内巡りの電動バスのチケットだけを買った。
まずは付属の小さな博物館の展示を見て回る。これは近藤紘一さんが本に書いていた「テトが近くなると出回る花模様のカーロック(雷魚)」ではないだろうか?
電動自動車で公園の西側、大きな池と湿地帯のあるほうへと向かう。
船着き場の他は特になにかアトラクションや施設のある場所ではなかったが、自然がとても美しい。
電動自動車でまた園の入り口の方へと戻る。園内を見渡せるのであろう大きな塔(登らなかった)の下でアイスクリームなどを食べながら池を眺め、しばしまったりと過ごす。
今回私が行ったのは、広大なチャムチム国立公園の中のほんの一部。赤で囲んだうちの、赤線部分だけである。うーん、こんどはバイクで来たいものだ。あるいはグループか。実はこの近くに、妻の姉の旦那の親戚が住んでいるという。なにか慶事でもあったらまた来ることがあるだろうか。
今日はカオラン市に泊まることにする。カオラン行きのバスは、ネットの情報だと30分に1本あるとのことだったが、50分以上待つことになった。
(続く)