国境の町ロックからハティエンへ(カンボジア→ベトナム)

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※この記事は旅行から帰った後に書いています。当日のレートはおおよそ4020リエル=1米ドル=22.3千ドン=108円でした。
※地図とこの旅行のインデックスはこちらを参照。

 
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バイクタクシーを降り12,000リエルを渡す。ベトナム入国時と同様に、国境通過の間バイクに乗らないか、いやハティエンまで乗せて行ってやろうかというバイクタクシーが数名寄ってくるが、当然のことながら今回は無視する。昨年1週間滞在した、勝手知ったるハティエンでボッタクリバイタクなど必要ない。
 

手元に残っていたカンボジアリエルはきっかり10,000リエル札9枚で90,000リエル(22.5ドル)。高額紙幣は全てベトナムで両替するとなると、記念に持ち帰る小額紙幣がなくなってしまう。国境手前の雑貨屋のおばさんにベトナム語で話しかけ、10,000リエル札1枚を5,000リエル札2枚に変えてもらったが、両替だけでは悪いので、韓国製のエナジードリンク「バッカス」を3000リエルで1本いただく。その間にスマホのSIMをベトナムのものに入れ替えておく。
 

しばし休憩ののち、荷物を担いで国境ゲートへ。まごついている若いベトナム人カップルがいたので声を掛け、一緒に国境を超えることにする。かわいそうに、彼らはカンボジアの入管に手数料が必要だと賄賂をせびられ、1人20千ドン取られてしまっていた。「ハティエンの国境から街までって、バスなかったよね、6kmくらいあるよね?」と話してみると、「私たちバイクだから、乗せてあげるわよ」と嬉しい申し出。彼氏の中型バイクは後席にカゴに入れた荷物を積んでいたので、彼女のスクーターの後席に乗せてもらい、カンボジアの入管からベトナムの入管まで数百メートル移動。ベトナムへの入国もスムーズに済ませ、再度彼女の後席に乗せてもらい、「キエンルオン県にいくんだけど、ハティエンのバスターミナルで降ろしてくれたらいいよ」と国道80号線を東へ。助平なつもりはないが、若い女性の後席は嬉しい。
 

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今回の入国はビザありのため滞在期限は翌月16日まで。ベトナムの国境印は空港なら飛行機の、港なら錨の、陸路ならクルマの絵が描かれている。
 

昨年何度も見たタックドン岩などの風景を眺めながら走っていると、彼女と彼氏で「バスターミナルは……知らない……去年……」と何か相談事のような会話が始まった(ベトナム人同士の会話となると、私のベトナム語ヒアリング能力はこの程度である)。そのうちに、たしかこの辺りにバスターミナルがあったな、という場所は通りすぎてしまい、ハティエン市街に入ってしまった。市街は大きな河口にかかる橋を挟んで東西に分断されているので、彼女に「橋の前でいいよ」と声を掛け降ろしてもらい、「ここでバス待ちするよ、ありがとう。君たちはどこまで行くの?」と聞いてみるとサイゴンまでだという。バスだと場合によっては12時間かかる距離だ。お互いに「good luck!」と声をかけて別れる。
 

去年もバス待ちをしたカフェで10千ドンのカフェスアダーを頼んで、店のおばさんに「バス待ちをするよ」というと「バスはこないよ」と言われる。「いや、バスはあるって。去年来たから知ってるよ。去年もここでカフェ飲んだよ」と言うが、いやバスはこないから、バイタクに乗りなさい、としつこく言われる。ベトナムでは「バスはないぞ」はボッタクリの定番セリフだ。なんでこんなところでまで騙そうとするんだろう、と随分嫌な気持ちになってしまったが、30分待っても本当にバスは1台もこない。これはどうしたことかと思って、客引きに来たバイクタクシーに「バスを待ってるけど……でも何で来ないのか……」と聞いてみると、「バスターミナルは橋の向う岸に……」とのこと。えっ? もしかして移転してたってこと? これにはびっくり(「移転」を意味するベトナム語を知らなかったのだ)。店のおばさんにカフェ代を払って、「バスターミナル、向こう岸、変わったの!? ごめん、おばさん俺を騙そうとしてるのかと思って……」というと「もう!だから言ったのに!」とふくれっ面。両手を合わせ「ごめんなさい、ほんとーにごめんなさい」と謝ると、持っていたしゃもじでこちらの頭を叩く仕草をしながら、代金を受け取ってくれた。

バスターミナルまでの距離がいまいちわからなかったが、20千ドンだというバイクタクシーを15千ドンに値切り、バスターミナルへと向かった。