フンイェンからハノイ(ミーディンバスターミナル)
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この街からハノイまではおおよそ2時間。ミーディンバスターミナル10時20分のバスに乗るためには、余裕を見て7時半にはバスに乗りたかった。
宿を朝7時すこし前にチェックアウトして、食事のできる場所を探しながら歩く。……が、ない。ベトナム南部だったらどんな辺鄙な街でも朝食屋などすぐ見つかるものだが、お粥の店を一軒見逃して(お粥は食べたくなかった)しまうと、宿からバスターミナルまでの徒歩約20分の間に、全く飯屋がないのである。昨日の公園を通り過ぎ、ようやくバスターミナル向かいの辺りでフォー屋を見つけて入ってみる。
ちょっと迷ったが、南部ではあまり食べることのない鶏肉のフォーを頼む。1歳になる甥っ子をあやしながら若い女性がやっている店である。味はまぁまぁ。いろいろ世間話をしてみると、やはり何度か聞き返したり言い直したりは必要だが、95%会話は成立している。自分のベトナム語、もうすこし自信を持っていいなあと思う。フォー1杯にヴォイ茶をつけてもらって30千ドン。この町の人は朝は外食はしないのかと聞くと、「する人は少しだけだし、時間的にもっと早い」とのことだった。
バスターミナル向かいのバス停でバスを待つ。何台かバスがやってくるが、どれもハノイの東端にあるザーラム県(Gia Lâm)行きのばかりである。ハノイは大きな街だ。ザーラム県から、今回の目的地である西北部行きのバスが多数出るミーディン区(Mỹ Đình)までは、下手すれば1時間半はかかってしまう。同じくバス待ちをしていた女性に、ミーディンバスターミナルまでのバスがあるかどうか聞くと、少し考えてから「ある」という。あ、これはよく解ってないけど適当に答えたパターンだ。
まぁ、ミーディン発10時20分ギアローゆきのバスに間に合わなくても別に構わないだろう、イエンバイ省イエンバイ市まで出るバスはいくらでもあるだろうし、そこからギアロー市社ゆきもあるだろうし……。と思っていたら、イヤホンで音楽を聞いているオタクっぽい若者に「ミーディンゆきのバスはある……BigC(スーパーマーケット)で降りて、バイクタクシーを拾えば、向かいに……」と教えられる。早口で言うものだから60%程度しか聞き取れない。BigCってどこのBigCだろう? この田舎にあったっけ? と思っていると、次に来たバスに向かってその若者が歩いていく。みると行き先案内板に「BigC Mỹ Đình」とある。ああ、これに乗ればいいのだろう。時計を見ると8時5分。
このフンイエン市からは、ホン河にかかる橋を渡ってハナム省に入ってしまえばハノイまで高速道路(CT01)がつながっている。しかしこのバスは橋を渡らず、ホン河の東岸を北上していく。道は悪く、予想より時間がかかりそうだと思っていたが、ハノイの東にあるエコパークというIT系工業団地兼高級住宅街?まで1時間あまりで到着し、ハノイ市街の南部をぐるっと回る高速20号線(CT20)を走っていく。ハノイ市南西部・ハノイ大学のあるあたりは観光客はこないエリアだが、高層ビルが立ち並び、ここだけ見ればサイゴンより発展しているように見える。
9時50分にミーディン区の BigC Thăng Long 前でバスが止まった。オタクの若者もここで降りた。念の為バスの乗務員に「ミーディンバスターミナルには行かないのか?」と聞くと「いかない。早く降りて」という。降りるとすぐにバイクタクシーが群がって来たので、バスターミナルまで頼むと50千ドンだという。「高すぎる。30で」と言い乗車。客にヘルメットも渡さずに走り始める。約3kmの距離を走り、バスターミナルに到着したのが10時少し前。トイレを済ませてからチケットカウンターを眺めて、イエンバイ省方面のカウンターで「ギアローゆきはあるか?」と聞くと、「すぐに出る。早くして!」と言われ、160千ドンできっぷを買う。きっぷには「38番乗り場 10時10分発」とある。慌てて乗り場に向かい、飲み物とパンだけ買って乗車した。バスが出発したのは10時15分過ぎだった。
(続く)