2月5日(移動日)前半:ティエンザン(メコン川)を超えればもう田舎

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※この記事は旅行から帰った後に書いています。1万ドンは約56円でした。
※地図はこちらを参照。
 

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7:30に遅めの起床。今日もホテルの朝食は代わり映えないバゲットとオムレツ。机の下には誰かの置き忘れの、タイ語で書かれたベトナムのガイドブック。

今回、カメラの写真をスマホに転送するために16GBのflashairと8GBのWifi-mobiを持ってきていたのだが、flashairにWIFI接続できなくなってしまった。一度PC版のユーティリティでリセットする必要があるのでホテルのロビーのパソコンを使おうと思ったが、このPCがなんとUSB端子なし、マウスやキーボードもPS/2接続という代物でSDカードが接続できない。前回は8GBのWifi-mobiを使って、6週間の旅行中に2度容量オーバーとなりデータコピーのためにネットカフェのお世話になったので今回は16GBのFlashairで完璧、と思っていたのだが、また別の町で試すしかない。

 

今日向かう Trà Vinhへ行くバスは、サイゴンの西の玄関、ミエンタイバスターミナルから出ていないという噂を聞いていた。チェックアウトの際にフロントのスタッフにバスについて尋ねるが、まず英語がまったく通じない。ベトナム語の筆談に切り替えてもどうも話が通じない。語学的な理由ではなく、彼は「長距離バスに乗って遠くに行く」という経験がゼロというか、ものを知らなすぎるというか、そういうタイプのようだ。ついには「バス」という単語を伝えるのにスマホの画面で写真を見せてきたので諦めてチェックアウト。ベトナムでもタイでも、時々びっくりするぐらい仕事のできない人がサービス業をやっていて驚くのだが、旧正月の休暇で若い子はみんな帰省する時期だ。恐ろしい程の人材不足だったのかもしれない。

 

ミエンタイバスターミナルに向かう2番バスは、サイゴンバスターミナルを出たあと、このホテル近くのコンクイン通りを北上する。そのあたりを歩いていればバス停はあるだろうと歩き始めたのだが、いつまで経ってもバス停らしきものが見つからない。「バス停」を意味するベトナム語を知らないことに気づく。こういう時に限ってスマホの調子が悪く。地図も見れない、翻訳もできない状態だ。重い荷物を背負っているし、気温はどんどん上がってくるし、判断力も鈍ってくる。

気がつくとグエン・チ・ミンカイ通りまで出てしまい、ツーズー病院の前でようやくバス停を見つける。看板を読むと、「停留所」は「Trạm」のようだ。スマホで漢字を引いてみると「站」と出る。つまり中国語と同じか。しかしこのバス停だと逆方向にむかってしまうので、中央分離帯のフェンスをまたいで対岸に渡り、近くにいた警備員に筆談つきで「Tôi đang tìm trạm xe buýt đến Bến xe Miền Tây(ミエンタイバスターミナルに行くバス停を今探している)」と伝えると、少し離れた場所を指さされる。よく見れば見慣れたようなバス停ではなく、道路標識のようなものに停車するバスの番号が書いてある。なるほど、いままで見つからなかったわけだ。10kgの荷物を担いで1.5kmは歩いてしまった。

 

乗り込んだ14番バスは、いままで乗りなれた2番や1番のバスと違いかなりのボロで冷房もなしだった。ミエンタイバスターミナルまでは随分な距離があるはずだが、運賃は最低の5千ドン。ミエンタイバスターミナルまでは30分ほどかかったか。

 

ミエンタイバスターミナルの切符売り場でチャーヴィンゆきを売る窓口を見つけ、エアコンはあるか? 何時発か? と聞くとエアコン付きが8万1千ドンで、11時に出るという。切符を買い求めると案内の老人にトランクルームもない中古の韓国製バスに案内される。切符の券面を見ると7万9千ドンと書いてあり、どうやらこの老人の取り分が2000ドンのようだ。バスに荷物を置くとまだ多少時間がある。2000ドンの有料トイレを使い、待合所で1万ドンという水を8000ドンに値切り、1万5千ドンの大きなBánh bao(肉まん)を買う。どうもこういう場所での買い物は苦手だ。ぼったくられているのか、こういう場所だから高くて仕方がないのかの判断がつかずにイライラしてしまう。水が普通の倍の値段なら、この肉まんも本来は7000か。いや、一昨年にビンディン省タイソン県で食べた肉まんは2000だった。果たしてこれはあの肉まんの2.5倍の価値はあるだろうか……。いや、考えるのはやめよう。

 

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バスはほぼ定刻どおりに出発。しかし誰も窓を閉めないし、エアコンも効いていないようだ。エアコンありだと聞いていたのに。騙されたか……と思ったが、体が慣れてきているのか、単に窓からの風が気持ちいいからなのか、すぐに気にならなくなった。車載テレビではベトナムの吉本新喜劇、といった趣のDVDが上演され、みんな無邪気に笑う。

 

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3時間ほど走ると、バスはQuán Cơm Minh Phát 3という休憩所に入る。google mapsで見てみるとまだここはティエンザン省、この先ミートゥアン橋でメコンを渡ってようやくヴィンロンに入るようだ。20分ほど休憩だというのでトイレを済ませ、7000ドンの水と、2万ドン(値段を考えるのはやめよう)の Bánh mì heo quay(焼き豚サンド)を買う。名前は焼豚サンドだったが、実際の中身はベトナム語でシウマイと呼ばれる肉団子だった。

サイゴンではあまり見ない宝くじ売りに話しかけられるので、適当に作文し「Người ngoại quốc không mua LOTO」(外国人は宝くじを買わない)と筆談。後でわかったが、外国人を「Người ngoại quốc(人外国)」というのは随分古い言葉だったようだ。ベトナムでは中越紛争のあとに「国語純化運動」があり、漢語由来の言葉(漢越詞)がかなり減らされて、現在では「外国人」は「Người nước ngọai(人くに外)」と表現する。

 

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休憩を経てミートゥアン橋を渡ると、緊張ぎみだった車内の雰囲気は完全に緩んだようだ。乗客の殆どは旧正月を故郷で過ごすために大都会サイゴンを後にした人たちだろう。田舎の空気に触れればそれは心も緩む。多くの乗客は靴を脱ぎ思い思いのポーズでくつろいでいるし、若い恋人同士も睦言を交わし始める。

 

この日、チャーヴィン到着までに使ったお金は13万8千ドン。