入国に手こずったジンバー(Dinh Bà)国境
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バスは田舎のガタガタ道を25kmほど走る。途中で新しく建設されている街のようなものもあった。ベトナムの国境地帯は経済特区に指定されることが多いので、そういった関係だろうか。
1時間ほどで国境の建物に到着。あまりのスローな走りに、googlemapはバスではなく「バイク」と認識してしまっている。バスの運転手に終バスの時間だけ確認してから国境に向かう。
国境手前にはちょっとしたTrung tâm mua sắm (買物中心……日本語でどう言えばいいだろう? 集合商店か? 市場とスーパーマーケットの中間のようなものです)になっていて、看板はクメール文字でも書かれていた。
いわゆるゴールドショップもあった。この国境にはカジノはないと思うのだが、儲かるのだろうか?
入管の建物に入ってみたが……窓口には誰もいない。車両用の通路の方には係員がいるので、そちらを通るのかと思って行ってみたが、「荷物検査をしてこい」と怒られる。建物に戻るとラフな服装の係員がやってきて荷物のX線検査を受けさせられた。係員がまた車両通路のほうを指すので、またそちらに戻ると「外国人の手続きはあっちだ」とまた怒られる。どういうことだよと建物にまたまた戻り、あちこち見て歩くとひとつだけ係員(これはちゃんとした制服軍人)がいるブースがあった。無愛想なその男にパスポートを提出して処理してもらう。
ベトナムとカンボジアの間はちょっとした川が流れており、橋がかかっていた。
橋を渡ってカンボジア側に入る。入国カードを記入してパスポートと一緒に提出するが……。係員が英語で「このビザは期限が明後日までだ。何日いるつもりだ? ベトナムに戻るビザはあるのか?」とあれこれ聞いてきて、「ちょっとそこの机で話をしよう」といわゆる「別室送り」になってしまった。
「今回はただのビザランだ。30分でベトナムに帰る」「私はベトナム人の妻がいる。ベトナム入国のビザは免除である」と説明するが、どうもこの係員はベトナム語が読めないようで、ビザ免除証書のことも分かっていないようだった。結局「上司に電話するから説明してくれ」といわれ、電話で再度説明することになった。電話先の人はベトナム語が分るとのことだったので、ベトナム語で再度説明すると「わかった、OKだ」となった。
係員氏は事務所からスーツケースを持ってくると、その中から入管処理セットを出してスタンプを押してくれた。入国は3日間しか認められないはずだが、スタンプの仕様か、1ヶ月滞在できるような内容になっている。入国カードの方には訂正した日付を書き込まれた、これでようやく入国である。
カンボジア側からベトナム側を望む。国境周辺というのはゴミだらけのところが多い。
プノンペン行きのちょっとしたバスもあるようだ。また国境の窓口にも、ドンタップ省カオラン市バスターミナルからプノンペン行のミニバンの名刺が置いてあった。
とくにやることもないので、カフェも商っているような雑貨屋でコーヒーを一杯だけ飲む。もちろん雑貨屋はベトナム人だ。ベトナムカンボジア国境では、ベトナム側にはカンボジア人はあまりいないが、カンボジア側はベトナム人だらけである。……といううちにトイレに行きたくなってきた。さっき牛がいたところに公衆トイレはあったが、ものすごい汚さだった。早くベトナム側に戻ろう。
ベトナム側に戻ってから、来た道をバスでまた戻る。途中で乗ってきたおばさんの自転車は、伊勢崎市立高校(?)のものだった。日本で撤去された違法駐輪自転車の多くが、東南アジアに売り飛ばされているのだ。
ホングの街にもどって適当なホテルを見つけてチェックイン。バイクのレンタルもしてくれるそうだ。街を少々ぶらついてフーティウ(南部の麺料理)の汁別を一杯。
フーティウだけでは物足りなかったので、散歩しながらバインミーも買う。私のベトナム語が怪しかったせいか、「あんたはホア人(中華系ベトナム人)か?」と聞かれた。このあたりはホア人、それもベトナム語が怪しいホア人が多いのだろうか? そういえば「萬玉堂」なる漢字の看板もあった。
メコン川沿いの公園の屋台で干物とビールを頼み、しばしまったりと飲酒してからホテルに戻った。
(続く)