ベトナム人の配偶者むけのビザ免除とスタンプの更新②

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※2021年7月31日追記。その③を書きました!

前回の続きです。

ビザ免除証書保持者のスタンプ更新はどこで行うのか

さて、ビザ免除証書を手に入れたあとで滞在期限を更新するのには2つの方法がある。一つはもちろん、一旦ベトナムから出国して再入国する方法である。これはなんの説明もいらないだろう。基本的に、旅行等で入国するときと同じく何も言わずにイミグレにパスポートを提出するだけでよい。入管職員が勝手にビザ免除証書を見つけてくれてよしなに取り計らってくれる。

もうひとつが、入国管理局でスタンプを更新する方法である。現在SARS-CoV-2禍で外国に簡単に行けない以上、これを選択するしかない。ホーチミン市の場合、対応する入管施設は以下のどちらかになる。

 
①ホーチミン市の出入国管理事務所

②ベトナム政府公安部の出入国管理局

 
ベトナムの政府機構では、中央政府の省庁は「bộ : 部」であり、レベル1の自治体(省と中央直属市)の部署は「phòng : 房」。レベル2自治体(県、区、市など)のそれは「sơ : 所」と呼ばれる。また、Bộなどの内部組織は「cục : 局」である。つまり①はホーチミン市のものであり、②は政府公安部のものである。(2021/04/21削除)

ベトナムの政府機構では、中央政府の省庁は「bộ : 部」であり、レベル1の自治体(省と中央直属市)の部署は「sở : 所」。レベル2自治体(県、区、市など)のそれは「phòng : 房」と呼ばれる。また、国家公安部の下部組織のホーチミン市公安では、専門部署を「phòng」と呼んでおり、①は国家公安部のホーチミン市公安の入国管理局、であり、②は国家公安部「在」ホーチミン市事務所の入管局なのである。(2021/04/21加筆)

で、どちらの役所に行けばいいのか、これは、配偶者であるベトナム公民の「住民登録」がどうなっているかで変わるようなのである。

ベトナムには日本同様の「戸籍 : hộ khẩu」システムがある。ベトナムでは戸籍は、マンション含む不動産所得者にしか発行されず、借家住まいの場合はずっと両親の戸籍にはいったままになるのだ。そして借家住まいの場合、正式な賃貸契約書があれば住民票に当たる青い手帳(以下、住民手帳)が支給されるが、正式な賃貸契約書がない場合は住民票に当たる書類が手に入らないのである。

このため

①外国人配偶者がホーチミン市に暫住証明書を持っており、ベトナム人配偶者もホーチミン市に戸籍があるか、ホーチミン市の住民手帳を持っている場合……ホーチミン市入国管理事務所で処理可能

②外国人配偶者はホーチミン市に暫住証明書を持っているが、ベトナム人配偶者はホーチミン市に戸籍がなく、ホーチミン市の住民手帳も持っていない場合……ホーチミン市では対処不能なので政府の入国管理局に行けと言われる

という振り分けが行われるようなのである。

念の為言っておくが、これはあくまでも筆者の体験にもとづく推論である。実際、筆者の妻は住民手帳がないのに、一度はホーチミン市入国管理事務所で更新処理が一度できたことがあったりする。ベトナムの役所の手続きは日本のように杓子定規にきっちり決まっているわけではないのだ。

 

実際の手続きは?

以下、ベトナム人配偶者がホーチミン市の住民手帳もなく、ホーチミン市に戸籍もない場合の例。他の場合でも以下を応用できるはずです。

用意する書類は以下である。


  • NA5式書類(ビザ免除証書申請に使ったNA9とは別のものです)
  • パスポート原本
  • ベトナム人配偶者のCMNDの公証コピー
  • ベトナム人配偶者の戸籍簿の公証コピー
  • 結婚証明書の公証コピー
  • 外国人配偶者本人の暫住証明書(公安でのみ必要)
  • ベトナム人配偶者の「住民手帳発行不許可通知書」(公安でのみ必要)

書類を用意したら、外国人配偶者の暫住証明の住所を管轄する公安にまず行く必要がある。この「管轄」はレベル3自治体、すなわちホーチミン市であれば、区の下にある「坊 : phương」の公安になる。

公安の dân tiếp(民事受付?)に上記の書類を全部出し、問題がないと認められると、NA5式書類の3つのサイン欄(1つ目は外国人本人、2つ目はベトナム人配偶者)の3つ目に、公安責任者のサインとスタンプが押してもらえる。

ここで重要なのが、「住民手帳発行不許可通知書」である。このなんの役に立ちそうもない書類が、実は「住民票は出せないけど、ここに住んでいることを公安は認めていますよ」的な意味があるらしいのである。なので一度住民手帳の申請を行って、この書類(正式には Thông Báo: Về việc hộ sơ không đủ điều kiên cấp sổ tạm trú / 通知:書類が暫住手帳発行条件に充足しない件について)を手に入れる必要があるようなのである。これについてはお住まいの地区の公安の方針によっても違うかも知れないのでご容赦いただきたい。

私の場合は、公安の担当者のT中佐がもう顔なじみであるので(面倒な手続きを一人でやりにくる外国人が珍しいのであろう)、書類の審査も厳しくはなく、さっと済ませてもらえるようになっている。

さて、NA5式書類に公安のサインを入れてもらったら、次は政府公安部入国管理局である。受付の爺に「gia hạn tạm trú(滞在延長)」(英語で extend vizaでも通じるでしょう)といって受付番号表をもらい、17番窓口に書類を提出。ここでは「住民手帳発行不許可通知書」「本人の暫住証明書」は出さなくて良い。これは地区公安の管轄書類だからである。

何も問題がなければ、「10番窓口で呼ぶから待っていろ」と言われ、しばらくすると10番窓口で名前を呼ばれる。規定の金額(10ドル相当のベトナムドン)を払うと、「パスポート預かり証書」「領収書」の2枚を渡される。あとは預かり証書にある日付に、パスポートを取りに来ればいいだけである。パスポートに以下のようなスタンプが押されていれば、無事滞在延長ができたということである。


これは公安部入国管理局のもの


これはホーチミン市入国管理事務所のもの

 

後処理が必要!

しかしここで安心してはいけない。ベトナムの地元公安の「暫住証明書」は、パスポートのスタンプが更新されるたびに内容の追記が必要なのである。パスポートと暫住証明書を持って公安に提出すればすぐやってくれるので別に大変なことではないが、これをやっておかないと次回の更新のとき慌てる羽目になるし、公安によっては、これをやっていないとその地区から追い出される可能性もある。くれぐれも注意するように。私も一回やってしまった。

しかしまぁ、こんな面倒なことしなくていいように、早く国境開きませんかねえ。まぁ、レジデンスカードとっちゃってもいいんですが。いや、早急に永住カード(厳密には「暫住」ではない「通住」カードですけど)かな。

 

おまけ

そうそう、ベトナムの戸籍制度、面倒ですよねえ。不動産がないと駄目なんて差別的ですよねえ。まぁ2023年には廃止されるらしいですが。

で、以前Twitterで見かけた投稿に以下のようなものがありました。

ベトナムの道路ではバイクのナンバーに注目。ホーチミン市は50番代です。他の番号は田舎者なので運転が荒い

これは完全に間違いです。たとえば、昨日ど田舎から上京してきた人でも、ホーチミン市で登録されている中古バイクを買えばその日から50番代のナンバーが使えますし、ホーチミン市に住んで20年という人でも戸籍が田舎にある場合は、バイクを新車で買ってもホーチミン市でのナンバー登録はできないのです。そういう私のナンバーも、妻の戸籍がドンナイ省なのでドンナイ省の60番ナンバーです。外国人が新車を買うのはすごい手続きが面倒らしいんですよ。なので妻名義というわけ。