ベトナム中北部・ハティンよりラオス中部ターケークへのゆき方
ベトナムの中部からラオスの中部へ抜ける道にはいくつかの国際国境があります。
- ハティン省西部の Cau Treoからラオスの Lak20
- クァンビン省北部の Cha Loからラオスの Tha Khaek
- クアンチ省西部の Lao Baoからラオスの Savana Ket
このうち1つ目のCau Treo – Lak20間は2013年8月にラオスからベトナムの方向で入国しました。おんぼろの韓国製ミニバス(12人乗り程度)でラクサオのバスターミナルから昼12時頃出発、ベトナムのホンリン市社、ハティン市の各所で降ろしてくれます。
今回は2つ目の Cha Lo – Tha Khaek を通りましたので情報など。
これまでハティン市の郵便局前にあったバスターミナルは市の西約2kmの場所に移転されました。いつ完成したのかはうまく聞けませんでしたが、2015年11月現在ピカピカの建物で、併設されている売店・安ホテルなどもほぼ新築状態でした(新築すぎてフロントにはカウンター以外何もないレベル)。
ハティン市内からバイタクを20,000ドンで雇い、5分ほどでバスターミナルへ。きっぷ売りのカウンターがいくつか並んでいますので筆談を交えて「明日ラオスに行きたい。バスはあるか」と聞きますと、「明日はない」との無慈悲な答え。私のベトナムの滞在期限が明日までなので、これはきつい状況です。市内に旅行サービスの会社はあるかと聞いても、そんなものはないとの話。
困っていると「そこのおじさんに聞いてみて」と指をさされたので聞きに行くと、おじさんは「今すぐ出発する。500,000ドンだ」と言います。しかしここから一番近い Cau Treo国境はわずか90km先。いったい500kも出してどこに行くのかと聞くと、ハノイ経由ディエンビエンフー経由だとの事(笑)。わざわざハティン発でそんなところに行く外国人いねえよ! と思いましたが、商売になるんでしょうかねこれ……。
結局ほかの窓口のお姉さんにいろいろなバス会社の名刺をめくってもらい、何箇所かに電話しましたが明日出るバスはなさそうです。最終的にとあるバス会社に電話したところ、ベトナム語英語ちゃんぽんで話している途中にまさかの「アノー、アナタ、日本人?」との問い。十分通じる日本語で会話でき、明後日の午前3時発のバスに乗ることにしました。しかし「明日アナタ仕事ナイ? 遊ビノ電話シテイイカ?」と聞かれたので、女衒もやっていそうでした。
しかしオーバーステイかー、5ドルとは言え罰金きついなあと思いながら、今日の宿が決まっていないので安宿がないか尋ねると敷地内のホテルを案内される。値段を聞くと1泊180,000ドンで、ベトナムの地方でエアコン・温水・WIFI付きでの一番安いパターンです。前述の通り新築同然で、テレビも冷蔵庫もあり、お湯も勢い良く出ました。
シャワーを浴びて荷物を整理していると、宿のフロントの娘が来て筆談を交え「明日朝出るバス会社をみつけた」と言うではないですか(※名誉のために言っておきますが、ベトナムの中北部とくにゲアン・ハティンは訛りがひどく、ベトナム人も「あいつらの言ってること聞き取れない」という程です。私はハノイ人、サイゴン人とならこのくらいの会話はできます)
さっそく電話してみると、朝5時発とのことで、宿の前で拾ってもらうことにしました(と言っても宿自体バスターミナル内ですが)。
当日4時半に宿を出て待っているがなかなかバスは来ず、一度電話をいれて「今日バス乗る日本人だ。バスターミナルにいる」とベトナム語で伝えました。宿の隣の雑貨屋のおばさんもバス会社に電話をいれてくれ、おばさんのところで待つこと30分。5時半に10人乗りほどのミニバスが来ました。
運賃はここでは請求されず、バスはすぐに出発。当初は市内を北に向かったのでカウチェオ経由で行くのかと思いきや、しばらくしたら進路を変更し、居眠りしている間にチャーロー国境へ向かう田舎道を進んでいました。ちなみにエアコンはありましたがつける様子はなく、窓全開、乗降口も開いたままで、速度は「暴走」といえるほどでした。なお乗員は親子のような男性2名、乗客は外国人は私だけ、臨時用の国境通過証をもったラオス人少年1人、ほかはみんなベトナム人でした。
山岳民族の姿や高床式住居もみられる山奥をすぎ、9時半頃にベトナム側のゲートに到着。ここで全員イミグレに入り、個別の面通しがあって出国スタンプが押されました。前回書いたとおり、私は明日から有効のベトナム1ヶ月観光ビザを持っていたので、ベトナム語で「このビザは再入国時に使います。使用済み印を押さないでください」のメモをつけておいたのですが、「ハンコおしちゃうぞ~」「きゃーやめてー」みたいなお約束の寸劇をやらされたといえ、問題なく出国できました。
その後ラオス側のゲートを通りましたが、なんと個別の面通しなし。バスの運転手が全員のパスポートを持ってゆき、それで全員分の入国印をもらってきたようです(パスポート自体は下車時まで戻ってこなかったため、この時点では推測)。
ラオスは政治的にはベトナムの強い影響下にあるとはいえ、「国境を通った奴はちゃんとベトナム様がチェックしてるんだから、ラオはそれを信じろよ」というのは主権侵害なんじゃないのか? と少し嫌な気分になりました。
11時過ぎにラオスに入るとさすがに道も悪くなり、路肩に突っ込んだまま廃車になったトラックなども転がっておりスリル満点です。アンナン山脈を越え終わるとさすがに道はよくなりましたが、ところどころで張っているラオス警察を見るたびに運転手は小銭をもって駆け寄っていました。ワイロですかねえ。
結局ターケークのバスターミナルに着いたのは午後1時すぎ。国境でロスした1時間半ほどを除けば、260kmの山越えを6時間弱で走破の旅でした。バスターミナルにつくと早速食事になり、大皿に料理5種類くらい、ごはんは盛り放題、ビールなども適当に空けて、一人50,000ドンでした。ちなみに食事が終わってようやくパスポートの返却があり、メシ代取るまで返さないとはさすがベトナム人だなあと(笑)
気になる運賃は、途中同乗のラオス人少年に聞いた額300,000ドンに外人料金が上乗せされたのか350,000ドン取られました。国境・山脈超えありなら妥当な額じゃないでしょうか。ちなみに食事をしたところはベトナムのバス会社専用の拠点になっておりそこではすべてベトナム語でOK。泊まれる部屋もありました。しかし見せてもらった部屋は1泊100,000ラオスキープ(=270,000ドン=12ドル)のくせにかなり汚く、ありえないことにエアコンが隣の部屋と共用でした(壁に四角い穴があり、そこにエアコンが渡してある)。
さすがにそこは嫌なので、「他を探す。もし見つからなかったらまた来る」と告げ、メコン川沿いの130,000キープのホテルに泊まることにしました。ラオスは物価が高いので、ベトナム滞在時の倍の予算です。