プノンペンまでビザを買いに行った

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※このときのレートは、1ドル=113円=23千ドン=4070リエル程度です
※地図と旅程はこちらを参照。

 
奥様(※女性尊重のためわざとこの語を使っています)との結婚手続きが思ったより時間を食ってしまい、ベトナムの「配偶者むけ免ビザ制度」の手続きが可能になる前に現在のビザが切れてしまう事になった。このビザは昨年、とある友人に手を回してもらって、ある筋から招聘状450ドル・国境での手数料150ドルで手に入れた1年マルチのビジネスビザである。今回もまた別の筋に……と思っていたのだが、当たりをつけてもらった人の回答では1年のビジネスビザは発給が止まっているとのこと。3ヶ月シングルのビジネスなら240ドル+75ドル、6ヶ月シングルか3ヶ月マルチなら480ドル+150ドルでできるが、と言われたが、随分高い気がする。

 
結婚手続きがこれ以上伸びることはないとの確証を得ているし、この1年で、ベトナムで暮らすにはビザが観光なのかビジネスなのかはほぼどうでもいいと解っている。であれば、ということで週末を使って3泊4日でプノンペンのベトナム大使館まで観光ビザ3ヶ月シングルを取りに行くことに決めた。カンボジアのビザは2年マルチを取得済み、在プノンペンベトナム大使館でのビザ代は70ドル程度、往復のバス代は高級車でも30ドル程度、宿泊は1泊15ドルとして45ドル。旅費全てを入れてお土産を買っても240ドル以内だろう。観光もできて、とある筋に頼むより安い。
 



今回、バス会社は家の近くに車両基地をもつサパコツーリストを使うことにした。車両は一般のバスではなく、マッサージ座席仕様の9席リムジンバスである。値段は片道340千ドンと高いが、その快適さは如何ほどのものか確認も兼ねて乗ってみることにした。予約はネットでOK。朝6時半出発である。
 



バスは予定通り6時半に来たが……。これは「6時のだ」とのことだった。「1席空いているがこれに乗るか?」と聞かれたが、独立シートでなかったら嫌なので断る。15分ほど待つと予約していた6時30分の便がやってきたので乗り込む。ペットボトルの水2本が支給されてすぐ出発となった。今回、運転席の後ろの後ろを予約したのだが、もう一つ前の並びのほうが足元がゆったりしていたようだ。

 
バスは12区に入ったあたりで一度止まって、ここから乗り込む最後の予約客を待つために20分ほどロス。ベトナムでは普通のことである。結局乗客は、私の前に南アジア系の恰幅のいい男性、その隣にベトナム女性、私、私の隣に遅参者のベトナム男性、後ろのロングシートには欧米人の若いカップルであった。

 
ホーチミン市から一番近いカンボジア国境は、市の中心部から70kmほどで、ベトナム側がモクバイ、カンボジア側がバヴェットという街になっている。私は以前に、ローカルバス+徒歩で1度、バイクで1度来ているが、国際バスでの通過は初めてである。遅参者を乗せてからはバスは順調に進み、9時前には見覚えのある国境ゲートへとたどり着いた。

 
ここで運転手とその助手に全員パスポートを預けてベトナム側の出国。入管職員による面通し等は一切なしでの出国となった。車に乗り直しカンボジア側ゲートにつくと、また全員分のパスポートは運転手が預かり、入国ゲート前で待機。この間に Metfoneの2ドルのSIMと、同じ額のチャージカードを購入する。SIMにはベトナム語で簡単な使用法を書いた紙がついていた。ベトナム語のできない人は事前に使用法を調べておいたほうがいいだろう。

 
30分ほどすると、入管ゲート前に運転手が現れて私の名前を呼んできた。パスポートを受け取ると、すでに入国手続きは完了している。なるほど、これが国際バスの力か。以前に徒歩やバイクで来たときははちゃんと入管職員による人相確認があったのだが。無人の入管ゲートを建前だけくぐり抜けての入国となった。欧米人カップルはビザに問題があったようで、一旦ここで置いてけぼりとなっていた。

 
 

国境を抜けたバベットの街で早めの昼食となった。ベトナム系の店である。軽くバインミーティッで済ませようかと思ったが、バインミーカリー(カレーとパンのセット)しかないというのでそれを頂く。ベトナムではカレーはパンか麺で頂くものと決まっている。国境だけに値段は高く、50千ドンもした。「2ドルでいいか」と聞いたら「2ドルと半分だ」と言われる。公式なレートでは、2ドルは46千ドン、2ドル半は59千ドンだ。この店ではベトナムドンのほうが米ドルより価値が高いようだ。ドルもドンも細かいのがなかったので、1ドルと5500リエル出して「ちょっと安くしてくれ」と言ったら(本来、2ドル半なら1ドルと6000リエルである)、ニコリと笑って受け取っていった。1/8ドル(500リエル)値切ったのか、5千ドン余計に払ったのか、よくわからない計算である。

 
バスに戻ると欧米人カップルが戻ってきていた。彼らは見慣れぬアライバルビザのようなものを持っていたので、それが噂に聞くインチキ業者の偽ビザだったのかもしれない。カンボジアビザは金さえ払えば国境で必ず取れるので、ネットで売っているビザには絶対に手を出してはいけない。

 
 

カンボジアに入ると道はいきなり悪くなる。しかしこの長閑さも旅の醍醐味だ。途中1度休憩を挟んで(肉まんとアイスを食べた)、車はネークロァン橋を渡りプノンペン市内に。時間は13時ちょっと前。終点まで乗るかどうか少し悩んだが、運転手に「anh tài xế ơi, làm ơn cho tôi ghé Đại sứ quán Việt Nam nha」(運転手さん、ベトナム大使館で降ろしてくださいね)と声をかけると、「OK,OK」と手前で降ろしてくれた。

(続く)