チャウドックの国境を下見

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※この記事は旅行から帰った後に書いています。当日のレートはおおよそ4020リエル=1米ドル=22.3千ドン=108円でした。
※地図とこの旅行のインデックスはこちらを参照。
 


さて、チャウドックからカンボジアに行くというと、「メコン川をボートで遡ってヴィンスーン経由でプノンペンへ」という、図の赤色ルートが普通である。私も3年前にそのルートでプノンペンへ行っている。たしかにロマンあふれるルートであり、水平線の向こうにプノンペン市街が浮かび上がってくるのは素晴らしい光景であった。が、ボートに8時間は、飽きる。疲れる。
 

今回私が向かうのは、チャウドックの西にあるティンビエン(Tịnh Biên)という国境から、カンボジアのプニュ厶デン(ឃុំភ្នំដិន, Phnum Den, プノムデンとも)、キリヴォン(ស្រុកគីរីវង់, kiri Vong)を経て、ドンケウ(ដូនកែវ, 日本語ではタケオとも。以下タケオと呼称)に向かう青色のルートである。

そして今回のカンボジアでの目的地は、タケオからボートで行けるというアンコールボレイの街である。アンコールボレイは1世紀から6世紀にかけて栄えた扶南王国の都・ヴィヤダプーラの最有力候補地であり、紀元前400年のものと比定される最古のクメール語碑文も発見されているという、ユネスコ世界遺産候補の街である。往時はアンコールボレイからベトナムのオケオまで運河がつながっており、外国からの船はタイランド湾からオケオに入っていたという。
 


 

チャウドックは、国境の街・信仰の街の他にもう一つ、「マム(mắm)の街」という顔を持っている。mắm とは nước mắm (ヌクマム、ベトナムの魚醤)の mắm、つまりは日本で言う塩辛、魚介発酵食品を指す言葉である。
 



市場にはありとあらゆる魚介のマムがずらりと並ぶ。なおベトナムやタイではこのマムの絞り汁を調味料とする(タイはナンプラー、ベトナムはヌクマム)のに対し、カンボジアではプラホックという魚介発酵食品そのものを調味料として使う。そんなところからすでに「カンボジアの臭い」がするのがこの街である。
 


国境の町だけあって市場も非常ににぎやかである。
 


朝食はフーティウ・ナンヴァン・コー(Hủ tiếu Nam Vang khô)。フーティウとは中国由来でカンボジアとベトナム南部でメジャーな麺である。ナンヴァンは「南栄」すなわちプノンペンのことである。コーは汁なしの意。つまりプノンペン風汁なし麺。
 


屋台でヌクミア(サトウキビジュース)を飲みながら国境に関して情報収集。店のおばさんは「国境まで行くバスはない」というが……。 「Tịnh Biên」ではないが、 「Tịnh Biên」の一部である「Xuân Tô」と書かれている「12番バス」があったので乗り込んでみる。
 


バスはサム山の北を回ってティンビエンに向かう。40分ほど走ってたどり着いたのは chợ Tịnh Biên(ティンビエン市場)ちかくのバス溜まりであった。地図で確認するとここから国境ゲートまでは2kmほど。歩けない距離ではないし、バイクタクシーもいるようだった。
 



国境のティンビエン市場は免税市場のようであった。
 




苦手な人もいると思うのでモザイク(クリックで別ウィンドウ)。上から順に、トッケイヤモリの酒漬け、トッケイヤモリの干物、サソリ。トッケイは薬でしょうね。サソリは食用。こういった「げてもの」が増えてくるのも、国境感があります。
 



タイ製とおぼしき薬用油のたぐいがあったので買っておく。傷口に塗ったり、気分転換のために匂いを嗅いだりするのに使うものである。
 


市場を堪能したあとに昼ご飯。鶏もも乗せご飯と、豚の角煮とアヒル卵の煮付けをいただく。
 


バスを再確認しておく。バサック川(メコン川)の Vịnh Treからここ Tịnh Biên まで走るバスのようだ。ということはチャウドックのバスターミナルもこれで行けたのか?
 


バス溜まりにはベトナム国境警備隊の美人カレンダーが貼られていた。
 


この川を渡って少し行けばカンボジアである。
 


国境の町をアオザイ少女が行く。
 


 

さて、チャウドックまで戻って、しばし休憩の後、また市場をめぐり、SIMアダプタなどを買ってから夕食。ふと見かけた海南鶏飯を食べていると……
 


はのつめものとれた。あー、あした出国だというのに……。