キエンルオン県にゆくがやはりハティエンに戻る
※この記事は旅行から帰った後に書いています。当日のレートはおおよそ1米ドル=22.3千ドン=108円でした。
※地図とこの旅行のインデックスはこちらを参照。
ハティエン市街を東西に分ける大橋を渡りしばらく走ると、鄚玖像のある公園近くに真新しいバスターミナルができていた。15千と約束したバイタクに16千ドンを払う。値切っておいておつりを要求するのは少々気まずい感じがするので、いつも千ドンくらいなら余計に払ってしまう。ターミナル内でラックザーゆきのバスを探すが見当たらないので、手近な人に聞いてみると、路線バスの乗り場は場外だという。ターミナルの正門の斜向かいの飯屋が発着所になっているようだったのでしばしそこで休憩。ベトナム語を喋る日本人だというので珍獣のように扱われる。
しばらくすると「おい、日本人、ラックヤー!ラックヤー!」(ベトナム語の gは南部ではヤ行の音となる)と呼ばれる。どうも飯屋から少し離れたところにバス停があって、そちらからバスが出てしまったようだ。あわてて荷物を担ぎ駆け寄ってなんとか乗せてもらう。ラックザーまでは42千ドン、キエンルオンまでなら30千ドンだという。バスのペイントは見覚えのあるものと違っており、省政府の指定業者が変わったとかそんなあたりだろう。後日確認したところ、昨年乗った時は43千ドンだった。
キエンルオン県になにがあるというわけでもない。ただ昨年ハティエンに泊まった時に、レンタルバイクでそのあたりを走って風景を気に入ったというだけのことだ。ベトナム人の間では有名な観光名所「父子岩」(Hòn Phụ Tử)があり、周辺の海には小島が沢山あるために「南のハロン湾」として観光名所にしようという計画もあるという。バスは30分ほどで国道80号線と省道11号線の三叉路を過ぎ、バーホンのバスターミナルで一旦停留となった。昨年気に入った風景というのはまさにこの周辺であったので、ここで降りてしまおうか……とも思ったのだが、県の中心部のほうがいい宿もあるかもしれないとつい躊躇してしまったのが運のつきだった。
バーホンからものの10分もせずに着いたキエンルオン市場の前でバスを降りる。ちょうど昼時だったので、市場の飯屋に入って無愛想な女将にコム(飯)をくれ、というと12千だという。しばらく待っていると近くの食堂からコーラを運んでくる女性がいる。頼んでないよというと訝しげに去っていく。いつまでもコムがこないのでもう一度頼むと、いかにもめんどくさそうに20千だという。おいおい、さっきの注文をコーラだと思ったのか。これはベトナムでたまにある「ガイジンのいうことなんか分からないから」「ガイジンがなんかいってるからこれだろう」と決めつけて、人の言うことを聞き取ろうともしないパターンだ。ありていにいってしまえば、人種差別だ。
出てきた飯は量も少なく味も悪い。ついでに頼んだヌクミアは1杯5千だったが、コーラ1杯で12千取ろうとした根性も嫌らしい。なによりも、外国人嫌悪がありありと見て取れる。さっさと飯を済ませて立ち去ることにした。
市場周辺をうろついてみたが宿屋が見当たらない。公衆便所も3千ドンと相場より高い。諦め国道80号線に出てバーホン方面に向かう。宿は2軒ほどあったのだが、この田舎には見合わず1泊200千と250千ドン。他をあたると告げてまた歩き、歩き疲れて飲み物を出す屋台で休憩に入る。冷豆乳1杯10千ドン。これも高い。店のおばさん、お姉さんに宿情報を聞いたりとあれこれ話してはいたが、結局、思い切ってハティエンに戻ることにした。この時点ですでに、過酷なカンボジア帰りで随分疲れていたのだと思う。このキエンルオン県での不調は、翌日の夜に体調を壊して寝こむ前触れだったのだろう。
しばらく待っているとラックザーゆきのバスが通りがかる。手を振って停めてもらい乗り込むと、往路と1km程度しか変わらないのに、運賃は20千ドンであった。